地球の声の代弁者たち
こんにちは。天海 和美です。
今日の話は、地球の代弁者になった人たちの話です。
「森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト」を行う中で、色々な出来事に出会いました。
これが終わってからほどなくして私はアイヌの古老に会いました。(何の用事だったか忘れたのですが)
それでこのPJが無事に終わって本当に良かったという話をしました。
すると古老は「自然保護という言葉は俺は大嫌いだ。そういう事言う奴も嫌いだ。
だいたい自然を人間が保護すると言う考え方が間違っている。人間に自然が保護できるわけがない。
自然に守られているのは人間なんだから。
木を植えるとか、森を作るとか、そんな事はする必要がない。ほっておけば地球が勝手に森は再生する。
だいたい植林をするなんて、くだらない事したいんだな、そんな事はお嬢さん芸だと思っていたよ。」と古老は言い放ちました。
確かに地球は再生能力もあるし、ほっておけばいつかは森も再生していくだろう。
何百年と言うよりも何千年と言う時間をかければ元に戻っていくだろう。
しかし戻っていない地域もある、、、私は反論しそうになったが黙っていた。
古老の言っている事はもっともだと思ったし、一理あると思ったし。
でも、私が「木を植えたい。」と言うのはもっと別の意味があったので黙っていた。(それは私だけの思い出し、別に人に言言おうとも思っていないし、理解してもらおうとも思っていない)
そして古老は「どうせ植えるなら原生林の固有種でなければならない。
もう北海道で原生林が残っているのは阿寒と知床しかないんだ。だから植えるなら原生林の苗にするべきだ。」と言いました。
古老は「ところで何で和美は木を植えたい、森を作りたいと思ったんだ?」と聞かれました。
私は正直に答えました。たった一言
「それは私が阿寒湖のマザーツリーと約束したから。」と。
すると古老はそれまでの調子とはちょっと変わって「そうか、、、それは大変な約束をしてしまったな、、、。」とぽそり、、、と言いました。
「お前はなぁ、、、、魂に気品があるな。」と
屈斜路湖のコタンに住むアイヌの古老は自然の音を聴いたり、カムイの伝説を信じていたり、アイヌの古い言い伝えを守ってたりするので現代社会の中ではいわば奇人変人の部類に入ると思う(私も同類である)
しかし、森に関してはかなりのこだわりを持っている。
そしてとても行動力がある。
私の森づくりに関しての厳しい意見もそんなところから来ている。口だけで批判ばかりして何もしていない奴の話は無視するが、古老の話には素直に聞けるところがある。
1987年古老はニューヨークの国連本部に森林伐採の中止を求めて直訴に実際行っている。
この時、北海道の国立公園内の知床半島の原生林の木を6000本伐採する計画になっていた。
その時、森林伐採をしてお金にしようとしていたのは日本政府で国立公園内なのにバブル期で高く売れる木材を切って売り飛ばそうとしていた。なんとも節操がない。
時の内閣は中曽根総理と加藤農水相。国立公園内なのに政府がそんな計画をしていたのだ。
この時この森林伐採を巡って北海道中の自然保護団体や自然を愛する人たちの反対運動を起こしていた。
原生林の大木でしか繁殖できない世界最大のフクロウであるシマフクロウ(アイヌでは神とされている)も絶滅の危機にさらされていた。
知床の原生林が無くなればシマフクロウも絶滅する。
シマフクロウはアイヌの人たちにとっては精神的な支えなのだそうだ。「だからシマフクロウを守らなければならない。」
そんな思いで古老とカムイトラノ協会(阿寒湖に本部がある)のメンバーが自費でアメリカのニューヨークの国連本部に直訴に行ったのです。
他にも自然保護団体や野鳥保護団体、国連環境計画(UNEP)に働きかけて日本政府に知床の原生林の森林伐採を即時辞めるように直訴していた。
その甲斐もあって当初6000本の原生林の木が切り倒されるはずだったが、500本切ったところで中止となったそうだ。
この粘り強い行動があったから知床の原生林は守られ、その自然が認められて2005年に知床は世界遺産に登録された。この騒動の18年後である。
もし、中曽根総理によって6000本の原生林が失われていたら世界遺産にはなれなかっただろう。
アイヌの古老たちが国連へ直訴に行ってから今年でちょうど30年になる。
私は森を作ること再生することも大事だと思うし、もっと大事なのは今ある森をいかに残していくか?それが大事だと思う。
人間が手をかけて作り出すよりももともと地球が好きにデザインして作った森の方が良いに決まっているから。
そしてもう一つ大事な事を忘れてはいけない。
それは私たち人間の一人ひとりが「地球に対しての愛を感じること」
空気も水も食べ物もあって当たり前じゃないんだってこと。
私たちは「生かされている」と言うことに気づいてあらゆるものを大切にしなければならない。日常生活の中でできることはたくさんある。
無駄に資源を使わない(電気、ガス、水)それはみんな地球の資源を消費している。
紙や食べ物を無駄にしたり捨てたりしない。それも全て地球の資源であって負荷がかかっているものだから。
無駄にしない、大切に必要な分だけ使う、そして感謝する。
私たちはこの地球に住まわせていただいているのだから。