カムイへの祈り・アイヌの儀式
こんにちは。天海和美です。
9月17日はアイヌの神聖な儀式『絶滅種鎮魂祭』に参加してきました。
水・湖の女神たちが集う聖地チセヌプリ(水、湖の女神の集まるところ)の麓にその会場はありました。
屈斜路湖のそばの聖地に広大な土地があってそこが今回の「絶滅種鎮魂祭」の会場でした。
釧路は汗ばむほどの暑さでしたので屈斜路湖はいつもは釧路以上に暑いので寒さ対策はそれほどしなくても良いだろうと思いました。
普段寒がり屋の私でさえ朝から暑くてノースリーブで過ごしていたほどでした。
が、しかし、会場の屈斜路湖に近づくにつれて曇ってきて小雨が降り出しました。
あら、、、水の女神たちが集まりだしているのね、、、、と思いながら急いで行きました。
会場はすごい山の中にあるので迷ってしまいました。
到着するともうそこにはすでに大勢の方たちが集まっていました。(この儀式は招待された人たちしか参加できないので一般公開はされていません)
私は初めての参加だったのでどこにいって良いのかわからずにいたら。
皆さんが座っている中で、アイヌのシャーマンの古老・アトゥイが私を手招きし「ここに座りなさい。」と言いました。
私が躊躇っていると「早く、しなさい。」と促され着席。なぜ躊躇したかというとその場所は儀式のもっとも神聖な位置でした。
この儀式を司るアトゥイの真後ろで、廻りはみなさんアイヌの衣装を着たアイヌの女性たちばかりでした。
私がビビっていると隣のアイヌの女性が式の作法を静かに教えてくれました。
私が予想していたよりもはるかに盛大な感じで参加者の方々もワクワクしているように感じました。
と言っても町長さんとか代議士秘書とか他にも偉そうな人たちがいらっしゃいました。
そして静かに厳かに儀式は始まりました。
古老がお祈りの言葉を語り始めました。ずっとアイヌ語で話しているので意味はわかりませんでしたが何かが響いてくる感じでした。
アイヌ語でのスピーチって初めて聞いたなぁ、、、、。
チセヌプリのすぐ前にこの祭壇があって、そこに多くのひとたちが集い儀式を行いました。
(この場所はこの鎮魂祭の儀式を行うためだけに使う場所だと数ヶ月前に訪れた時に教えてもらいました)
祭壇の前に火があってそこに米や塩、何かの実?みたいなものがあってそれを火に入れて燃やします。
時折、神事用の棒のようなもので水を掛けていました。
こういうところはネィティブアメリカンの儀式と共通するな、、、と思いました。
私は古老のすぐ後ろに座っていたのですが場所が狭かったので古老が儀式の所作で動くと私の足にぶつかりました。
その度に電気のようなビリッ!としたものが走りました。
カムイと一体になっているからなのかも知れません。
北海道にはエゾオオカミがいたのですが明治時代に開拓者(和人)たちがエゾシカを乱獲し個体数が激減したためにエゾオオカミが人間の家畜を襲って食べるようになり、オオカミは駆除対象となりわずか20年ほどで絶滅してしまいました。
多くのオオカミたちには懸賞金が懸けられ殺して持ってきたらお金を出すということがされて多くが毒殺されていったそうです。
この辺りはアメリカで起きたことと全く同じですね、、、、。
人間の都合で多くの動物たちが絶滅していきました。
この地球は人間たちだけの星ではないはずなのですが。
何万年、何十万年の間、人間は自然と調和しながら持続可能な生活をしてきたはずなのにいつからこうなってしまったのか?
私たち人間は森の木や湖、川、大地、海から豊かな食べ物をいただいて生きてきました。
だからこの自然を殺すということは私たちが生きていけなくなるということを指し示しているのです。
山は削られ、海は埋め立てられ、大地は農薬や化学肥料で汚染され、その水を私たちは飲んでいる。
たくさんの工場ができて有毒なガスを含む煙が空気を汚し、汚染された雨を降らし、私たちは汚れた空気を吸う。
汚れた水は川を汚し、海を汚しその水を私たちは飲み、汚染された魚を食べる。
大地は傷つき、海は汚れ、大気は濁り熱くなる。
誰もが自分のしたことではないと否定したくなる。
でも、本当は一人ひとりの「無関心」という心がすべてをさらに悪くする。
そしてその原因を他国や他人に押し付けたがる。
でも、それは私たち人間が「今さえよければ、自分さえよければ」という心が生み出したもの。
先住民は7世代未来の子孫を想い、今を生きる。
大切なものを残しておくために。
なぜなら今、自分たちが生きていられるのは7世代前の祖先が残してくれたものだから。
さて、話は鎮魂祭に戻りますが。
古老が私たち人間のために絶滅させられてしまった動物たちへの鎮魂の言葉を口にすると(日本語で)
私はその動物たちへ思いを馳せて、我慢したのですがどうしても涙が出てきました。
日本の先住民のアイヌ民族は一万年間、先祖の言い伝えを守って持続可能な生活を続けてきたそうです。
満月の月の出が17時49分でした。
この日もとても不思議なことがありました。
夏至祭もそうだったのですが摩周湖のカムイヌプリから月が昇ってくるんです。
今回は野付半島から摩周湖カムイヌプリそしてこの神聖な儀式をするチセヌプリの麓へと一直線だったのです。
前回の夏至祭の場所にいたら今回はカムイヌプリからの満月ではないのです。
偶然にしては凄すぎる。
やはり宇宙の壮大な計画の元に行われているのだなぁ、、、と感じました。
そしてその満月のエネルギーとここへ呼ばれた火の女神たちがひとつになりました。
水の女神たち、火の女神たち、そして月の女神と男神たちがこの火を囲んで楽しそうに歌い踊りひとつになっていきました。
儀式の時に古老が言った言葉が印象的でした。
「カムイ(神)のお気に入りは女性たちです。
カムイは女性を先に造りました。そしてカムイはその女性たちを補佐する目的のためだけに男性を造りました。
だから地球上では女性が主役なのです。
カムイに信頼されて信用されているのは女性だけですから。
和人の人たちもアイヌの叡智で参考になることがあったらぜひ、実行してください。」と。
そう世界中の先住民はみんな女性が中心なのです。
宇宙と調和しているとやはりそうなのでしょうね。
儀式の時、進化や成長、愛と喜びと豊かさを受けとることを制限しているもの、罪悪感、自分を許せないという想いを解放していきました。
そして統合されたエネルギーが入ってきました。
火のセレモニーでは女性性の制限の解放、豊かさの制限の解放、自分を愛せないことの解放。
そして自分自身をゆるし、絶滅種に対する罪悪感の解放をしました。
イナウ(アイヌの木の捧げ物)が燃えてその願いを宇宙の源に届けました。
そのイナウが燃えて火の粉になって真っ暗になった夜空に舞い上がっていく時、、、、
みなさんの願いが宇宙の源に届けられていくのが見えました。
本当に荘厳で神秘的なアイヌの儀式でした。
この儀式は午後3時から夜9時過ぎまで続けられました。
この地球上のすべての生きとし生けるものの愛と調和のために祈りを捧げました。
*追記
儀式が始まり、お祈りや奉納の芸能が始まるとカムイたちは喜んで歌い踊り楽しんでいました。
すると激しく雨が降り出すのです。喜ぶと、、、、雨が、、、、。
お喜びのサイン、、、、、
でも、寒くて、、、、寒くて、、、、午後3時から夜9時までずっと雨の中、、、、外にいました。
しかも座って、、、、。
儀式の写真は撮らなかったのですがこの火を囲んでの儀式とアイヌの人たちの踊りは凄かったです。
アイヌの人たちと火の女神が一体となって美しく幻想的で心が奪われました。永遠に続いて欲しいような、、、、、。
この火は勢いよく燃えていますが実はすごい雨の中です。
女神たちの喜びは伝わってきますね。
気温10度、降りしきる雨の中の6時間に及ぶ儀式で芯まで冷えました、、、、、。
*北海道の絶滅危惧種
丹頂、エゾヒグマ、オオワシ、シマフクロウ、エゾシマリス、エゾオコジョ、ラッコ、エトピリカ、ワシミミズク、ヒメマス etc….
*絶滅種
エゾオオカミ,カワウソ