人生で乗り越えなければならない壁が現れる理由・神話の中から知恵を得る

こんにちは。天海 和美です。

エドガー・ケイシー療法でアトピー性皮膚炎にはニレ茶が良いと言われていたので「ニレの木」について調べていました。

なぜなら身近にニレの木がたくさんあるからです。

以前、ハルニレの木はアイヌの人たちにとって薬だったというのを聞いていて。

そしてアイヌの神話の中に雷の神が地球にある(屈斜路湖のほとり)ハルニレの木に一目惚れした落ちたというのを聞いたことがあったからです。

だからやはりニレの木はとても神聖な力を持つのだろうな、、、と思っていました。それで色々調べていたら古事記とか北欧の神話とも共通していて、ユング心理学の癒しのところとも共通していたので、お伝えしようと思いました。

読むだけで癒されます(笑)

さて、ここからは山本エカシの口承によるものです。

アイヌはハルニレをチキサニ(われら擦る木)と呼び、ハルニレ材を摩擦させる発火法で火を起こしていた。アイヌの伝承によれば、天地創造の折、地上に最初に生えた木はハルニレであり、そのハルニレにカンナカムイ(雷神)が恋をして(落雷)起った炎から、アイヌの英雄神・オキクルミが生まれたという。

母親は天上から最初に地上に降りた女神、ハルニレの木の精霊でもあるチキサニ姫。父親は天上界で一番の荒神である雷神カンナカムイ。妻は天上の高位の女神である白鳥姫レタッチリ。

誕生
かつてまだ大地に動植物も人の姿も何もない頃、神(カムイ)の何人かが大地に降り立ち、世界を作り始めた。神々が大地に降臨したときには既に、混沌とした大地から悪魔や魔神たちが生まれていたが、神々は魔神たちから大地を守りつつ、世界作りに努めた。

天上の神々はこの地上の様子に大変興味を持っていたが、その中で雷神カンナカムイが地上を見下ろすや、地上にいるチキサニ姫に心惹かれ、たちまち雷鳴と共にチキサニの上に降り立った。

雷神の荒々しい降臨によってたちまちチキサニは火に包まれ、数度の爆発の末、燃え盛る炎の中から赤ん坊が誕生した。これがカンナカムイとチキサニとの間に産まれた子、アイヌラックルである。アイヌラックルは地上で誕生した初めての神だった。

幼年期
天上界の神々は地上に神の子が産まれたことを知り、ただちに養育の準備に執りかかった。まず幼い神の子を育てるための砦を地上に築き、養育役には太陽の女神が任に当たった。

チキサニは我が子の誕生後、6日間燃え続けた末に消滅してしまったが、その炎は絶やされることなく、養育の砦の囲炉裏に入れられ、生活の中心として用いられた。

やがて地上世界が完成し、動植物や人間(アイヌ)たちができあがると、神々は人間に言葉を教え始めた。知恵を身につけた人間たちは、神の子の養育の様子に倣い、それまでの洞窟生活をやめて家を建て、生活用具を作り、火を生活に用いるようになった。

少年期
神の子は元気な少年神へと成長を遂げ、地上で人間の子供たちとよく遊び、共に仲良く生活していた。この頃から彼はいつしか、神の子でありながら人間同様に暮す者として、アイヌ語で「人間くさい神」「人間と変わらぬ神」を意味する「アイヌラックル」の名で呼ばれるようになった。

アイヌラックルと子供たちとの交流の中、網、弓矢などの生活道具が発案され、それらは人間たちの生活において欠かせないものとなった。

青年期
ある雨の日にアイヌラックルは、養育の女神に大事なことを告げられた。

それは、アイヌラックルがもうすぐ16歳となって成人すること、神であるアイヌラックルは人間を指導する重要な役割を担っていること、争いを起こす人間は魔物同然として厳重に罰しなければならないこと、成人後の婚約者として天上では既に白鳥姫が選ばれており、後に姫が地上に降りて来ることだった。

この頃には、かつて地上に蔓延っていた悪魔や魔神たちは、地底の暗黒の国へ身を潜め、地上には平和な日々が続いていた。

大鹿退治
あるとき、巨大な鹿が人間たちを襲うという噂がアイヌラックルの耳に届いた。さらには、夜中に魔女らしき者が現れるという噂もあった。神々の助言により、アイヌラックルはこの一連の噂こそ、魔神たちが勢力を増す兆しだと知り、地上の平和を守る神として、魔神たちと暗黒の国に戦いを挑む決心をした。

アイヌラックルは大鹿退治に出発した。途中、小川のほとりで美しい姫に出逢った。彼の妻となるべき白鳥姫であった。アイヌラックルは姫に一礼し、道を急いだ。

そして遂に大鹿が現れ、早速アイヌラックルに襲い掛かった。子供の頃によく鹿と相撲をとっていた彼も、通常の鹿の2倍はあろうかという巨体の前には、さすがに苦戦を強いられた。激しい死闘の末、遂にアイヌラックルは大鹿を倒した。

アイヌラックルは、この鹿は到底野生の者ではない、もうすぐ成人する自分の力を試すため、天上の神々が使わした者に違いないと悟った。アイヌラックルは大鹿を手厚く葬り、地上の神である自分は相手が何者であろうと戦わなければならないことを告げた。

そしてアイヌラックルが真新しい矢を天上目掛けて射ると、大鹿の魂はその矢に乗り、天上へと帰って行った。

魔神退治
大鹿退治から凱旋したアイヌラックルは白鳥姫に再会したが、大鹿と共に噂にのぼっていた魔女ウエソヨマが現れ、姫を奪い去った。アイヌラックルは憎き魔女を倒そうとするも、逆に魔女の魔力によって視力を奪われてしまった。

神々の助けでアイヌラックルは養育の砦へ辿り付き、養育の女神の治療を受け、全快に至った。一方で姫は、暗黒の国で牢獄に閉じ込められていた。

その夜、アイヌラックルは女神から授けられた天上の宝剣を手にし、防具に身を固めて1人で砦を発ち、地底への入口を通って暗黒の国へと進んだ。

不意のアイヌラックルの出現に、魔女ウエソヨマを始めとする多くの魔神や悪魔たちが驚き、襲い掛かってきた。アイヌラックルは魔女ウエソヨマたちを次々に斬り捨て、暗黒の国の大王をも征伐した。

大混乱に陥った暗黒の国で、アイヌラックルが宝剣を天にかざすと、激しい雷撃が国を襲った。アイヌラックルの父である雷神カンナカムイの力であった。稲妻のこもった宝剣をアイヌラックルが数度振り下ろすや、暗黒の国は火の海となり、12日間燃え続けた末に完全に消滅に至った。

アイヌラックルは愛する姫を救い出し、無事に地上の砦へと帰って行った。養育の女神は白鳥姫が地上に降りたことを見届け、天上へと帰って行った。

その後、初めての地上の神であるアイヌラックルは、魔物たちの脅威が消え失せた地上で、人間たちと共に平和に暮らし続けた。

晩年
魔神退治の他にも数々の武勇を遂げたアイヌラックルだが、晩年には人間たちが次第に堕落していった。遂にアイヌラックルは、それまで住んでいた地を離れ、いずこかへと去って行ってしまった。

それ以来、地上の悪事や災害は増す一方であり、人間たちはアイヌラックルを失ったことを激しく悔やんだ。しかしアイヌラックルは去り際に、決して人間すべてを見捨てたわけではなく、時おり雷鳴と共に人間たちを見舞うと告げていた。それゆえに人間たちは、雷鳴が轟くと、アイヌラックルの来訪といって拝むようになった。

より引用

そして、北欧神話に登場する人類最初の男女アスクとエムブラのうちのエムブラ(女)が最高神オーディンに息を吹きかけられたニレから生まれたとされる。

世界中でも似たような神話がいくつもありすね。

一人の男の子が大人として、つまり母親から自立する時、必ず勇敢に立ち向かい戦わなければならない。

そうしなければ一人前の男にはならず、愛する妻をめとることはできないのです。

これがいわゆる通過儀礼ですね。

それは男にも女にも形は変わったとしても人生でいくつか起きる転換点です。

この神話の中にも悪魔の化身の大鹿は天上界の存在たちから遣わされた通過儀礼のための仮想敵なのですよね。

ここで大鹿に負けてしまうこともあるかもしれませんが。そしたら次のチャンスを待てば良いだけです。

仮想敵も天上界からの愛の形の変形。

そう思うと起きることはすべて最善だから精一杯やるだけだ!とチャレンジしたら良いだけなのです。

神話は比喩的に私たちに大切なことを古くから教えてくれています。

それでは、素敵な週末をお過ごし下さい。

【追記】
この神話に出てくるハルニレは、屈斜路湖にあるハルニレの木が今でも御神木としてアイヌの儀式をする場所になっています。

また初冬から春にかけてオオハクチョウ(白鳥姫)たちが屈斜路湖のこのハルニレの木の近くに集まってきます。


屈斜路湖のハルニレの木