諦めることよりも1歩でも進むことを選ぼう:森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト

こんにちは。天海和美です。
私は釧路湿原の聖域へ行くようになってもうまる12年が経ちました。それでも毎回、驚くほどの感動に出会うのです。
そして何かにぶつかって先が見えないような時もそこで答えをもらうことが多いのです。
私は自然の中にいるといろんな疑問が湧いてきて。「これって何のためにあるのだろう?」とか「本当の幸せって何だろう?とか。
「何のために生きるのだろう?」とか(笑)
それでボ〜ッと自然を眺めていると彼らの姿から色々と教えられます。

その時は何気なくただ体験しているだけなのですが、数日経つとジワ〜っとその意味がわかってくるんです。
森は私の”導き手”であり、”先生”ですね。
これはキツツキに穴を開けられた木。

キツツキに穴を開けられると林業家の人たちは「キツツキを悪い鳥だ!」と思っていたそうです。
しかしその後キツツキは木の中に棲みついている虫を食べてくれて木が枯れるのを防いでくれるということがわかったそうです。
虫は木の皮の下をぐるりと食べてしまうと水が吸えずに木は死んでしまうらしい。
なのでキツツキは森の木たちのドクターですね。
森にいるとキツツキが木をコンコンコンコンと突いている音が鳴り響いているんですよ〜。
写真にも写っていますが穴のところから樹液が出ているんですよ。これが抗生剤の働きをして木を最近から守り病気にならないようにします。そしてこの樹液でだんだんと傷を治していくんです。
きっとこのきは今必死に自己治癒力を高めていますからこの樹液を飲むと「天然の抗生剤」になるでしょうし、人間も自己治癒力を高められますよね。
そしてこの下の木は。別の場所にありましたが時間をかけて修復していった木です。
真ん中の穴のようなものはキツツキが穴を開けて中の虫を食べた後、木が自力で自分の体を治している所です。
ほぼ塞がっています。
キツツキは木の中にいる虫を食べてくれるので木は死なずに済みました。
そしてこうして自力で穴を塞いでいます。
またある時はここに穴を開けたまま塞がったり大きな洞になって成長したりします。それには樹齢100年とか200年とかかかったりします。
そしてその洞の中に小鳥たちやモモンガ、リスが巣を作って雛を繁殖させます。
シマフクロウやエゾフクロウなどの大きな鳥になると大きな幹の洞が必要になります。
その太い幹の木が無くなってしまったためにシマフクロウたちは繁殖できず絶滅の危機に晒されています。世界最大のフクロウが北海道に生息しているって本当にすごい貴重なことだと思うのです。
キツツキは木に穴を開け虫を食べて、その傷がやがて洞になり、また動物たちの住処になることもある。そうやってたくさんの生き物たちが森の中で共に生きているのですよね。
だから何かが一つ無くなると他のものも居なくなってしまうのです。
虫を全部殺したら鳥もいなくなるし、鳥がいなくなると木も育たなくなる(鳥が実を食べてくれてフンを出してくれるので森が広がる)、森が無くなると鳥も繁殖できなくなりますが。
実は人間も生きられなくなります。森の木たちは二酸化炭素を吸って成長し、酸素を出してくれます。私たちはその酸素を頂くことで息ができます。
そしてなんと言っても「森は水を創り出してくれます」えっ?雨じゃないの?って思うでしょ?でも、森があることで雨雲も作られるし、森が無くなって砂漠化すると雨が降らなくなるのです。
そして降った雨を栄養豊かで綺麗な水にしてくれるのが森の木たちなのです。
その水をずっと溜めておいてゆっくりと地下に染み込ませていきます。
それが湧き水になったり地下水になったりして私たちの生命を養ってくれます。
釧路湿原には湧き水が沢山ありますがそれは50年くらい前に降った雨が湧水となっているというのが学術論文にありました。
ちなみに私は水道水は洗い物しか使わず飲むのは全て自然の湧き水です。お米研ぐのも全て。
農業をやるにも川の水、浄水場にも川の水を引いています。
木が生きていること様々な種類の木が混在していることで微生物も多様になり豊かな自然が形成されます。
私たちは森に生かされているのです。
友人のアイヌの古老は「お前たち自然を守るだとか言ってるけど。なに言ってんだ。”自然がお前たちを守っているんだ”」とよく言います。
そうなんです。私たちは森に守られ、森に生かされているんです。森の話をし出すと止まらなくなりますが。
キツツキが穴を開けることも大切な役割の一つ、決して無駄なことではないのです。
自然界に起きることは何一つ無駄が無い。
全ての出来事が関わり合って循環して支え合っているのです。
そう思うと”自然を敵としない”自然に合わせて生きていくのが真実なのだと思います。
鶴居村で”森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト”を始めてから今年で丸7年になります。
そして森を再生しよう、森を守っていこうと心に決めてからまる12年。
だから決意してから暗中模索して実行できるまでに5年もかかりました。
その間、実現できない自分にイライラして腹を立てていました。もがいてもどうにもならなかったんです。
それが実現できるチャンスが見えてきた時の希望ときたら、、、、、。
そして同じ思いを持った人たちがたくさんいて、一緒にやりたいと言って集まってくれたその喜び。
そこからマザーツリーのファミリーが生まれました。今もうまくいかなくて(エゾシカの食害で)もがいていますが。
今年もみんなで集まって森づくりをできるのはとても嬉しいですね。
今年は今まで植えた植林地の整備(草刈り)をします。今年は「持続可能な漁業を目指している」漁師さんもはるばるやってきてくれます。森を作り水を豊かにすることで美味しい安全な天然の魚が食べられますからね。
農業の方も酪農の方もIT関連の方も専業主婦の方も獣医さんもみんな「美しい自然を未来を残すために」やってきてくれます。
”諦めることよりも1歩でも進むことを選ぼう、、、”そう思います。