全ては繋がって支え合っている・山のカムイ
こんにちは。天海 和美です。
先日、釧路湿原の特別保護区にトレッキングに行った時のお話です。
この特別保護区は行くのに文部省の許可がいるのでガイドと一緒に行きます。年に何回も行っているのに毎回新しい発見があって驚かされます。
同行した人に「どうして何回も行っているのにまるで初めて見たいな驚き方出来るの?」とまるでヤラセみたいに思ったみたいですが。
本当に毎回、咲いている花も違うし、発見するものも違うしエピソードだらけで、、、、飽きないと言うか、本当に驚きが沢山なのです。
逆に言うと初めての人が行ってみて「いつもこんな感じなのねー」と思うかもしれませんが実はそれはその時しか見られない一回限りのものなのです。
そして今回はまたまた稀に見る出来事に遭遇しました。と言うより、、、時間が経ってから感動がしみじみ湧いてきた、、、って感じなんです。
この特別保護区のトレッキングのゴールはキラコタン岬という絶景の場所です。『森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト』の時も行くのですが早春なのでまだ緑が少し見えるくらいで葉っぱは生い茂っていません(5月末ですが)
なので真夏に見るキラコタン岬はまた別の顔です。
遠くが朝靄で少し霞んでいました。
そしてこの美しい見晴らしから数メートル下がったところで今回、凄いものを見ました。
それはこれです。何かわかりますか?
これは朽ち果てた木の根元にあった蜂の巣をヒグマが木を倒して、その蜂の巣を壊して食べてしまった跡です。
クマのプーさんがよく食べているハチミツのアレです。
ここにヒグマのプーさんが来たのです。ガイドの話ではほんの数日前に来てこの木を倒したと言っていました。
その大きな手で体重を掛けて大木を倒し、その根元にあったスズメバチの巣を壊して卵を食べてハチミツも食べてしまった跡でした。もうそこにスズメバチはいませんでした。
他にもエゾニワトコの木を倒した場所もありました(エゾニワトコは少し前に果実が熟していました。ニワトコの木ってハリーポッターの杖のあの木です)
どうして木が倒れたかと言うともう中が虫食いなどで腐っているからすぐに倒れるのです。
ヒグマはアイヌ語でキムンカムイと言います。山の神という今でカムイ(神)が体を持って人間の前に現れるのだと言い伝えられてきました。カムイの中でも最高神なのです。
今回、釧路湿原のトレッキングには3歳から8歳までの子どもたち3人を含むグループでした。
ヒグマは私たちが来ることを知っていたのではないか?と思いました。そのスズメバチの巣はトレッキングの小径のすぐ脇にありました。そばを通っただけで攻撃してくるかもしれません。
だからヒグマがそれを食べて駆除してくれたんじゃないかと。
ヒグマやカラスはスズメバチを食べます。だから黒い服を着ているとスズメバチは襲ってくるので蜂の駆除業者は白い防護服を着ています。
日本で野生動物との遭遇によって最も死亡者数が多いのは何かご存知ですか?
それはスズメバチです。
ヒグマやカラスが森から消えたら今度はスズメバチだらけになるでしょう。
だから何かの生物を絶滅させてしまうと生態系のバランスが崩れてしまい別な問題が引き起こされてしまいます。
天敵のいなくなった鹿やイノシシ、猿も大きな農業被害を出しています。
私はこの釧路湿原の中でヒグマが人間と遭遇しないで生息していて欲しいな、、、と思っています。
ヒグマが牛を襲ったり人間との事故もあり恐怖のニュースしか知らない人もいるかも知れませんが。
ヒグマは森を育てたり、生態系のバランスを保つ役割をしていることも知って欲しいと思いました。